第112章

エレベーターが下降していく。

葵は赤く点滅する階数表示を見つめていた。胃がギリギリと締め付けられるように痛む。

悠が彼女の肩に手を置いた。

「つらいなら、寄りかかっていい」

葵は一歩退いた。

「触らないで。平気だから」

悠は手を引っ込め、小さくため息をついた。

一階に到着し、ドアが滑るように開く。

ロビーには冷たい風が吹き込み、雪が舞い込んでいた。

葵が二歩踏み出した直後、背後で重い物が倒れる音が響いた。

振り返る。

和也が滑らかな大理石の床に這いつくばっていた。彼が握っていた点滴スタンドが傍らに倒れ、耳障りな激音を立てる。

身にまとった病衣はすでに広範囲が血で赤く染...

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